糖尿病内科

糖尿病とは

糖尿病とは血中に含まれるブドウ糖(血糖値)が慢性的に高い状態が糖尿病です。血糖値を一定に保つインスリンの分泌量が減少または機能が低下するため、血糖値が高い状態が長く続きます。長期間、血糖値が高いと全身血管に障害が起きやすく、さらに病気が進行すると腎不全や失明・脚の切断など、生活の質(QOL)が大きく低下させてしまいます。それと同時に、糖尿病腎症や糖尿病神経障害、糖尿病網膜症など糖尿病三大合併症のほか、脳梗塞や心筋梗塞などの重篤な疾患を起こす可能性があります。また、日本国内における糖尿病罹患者数は約1,000万人とされるほど増加傾向にあります。
糖尿病は早期に治療を開始すれば、食事療法や運動療法など服薬に頼らず症状を改善できます。当院では、糖尿病の患者様一人ひとりに適した治療を行っております。

糖尿病の原因

糖尿病には、「1型糖尿病」、「2型糖尿病」、「その他の特定の機序、疾患によるもの」、「妊娠糖尿病」があります。

1型糖尿病

自己免疫性と特発性に分かれ、どちらもインスリンを生成する膵臓のβ細胞が破壊されて発症します。若い世代にもありますが、60歳前後での発症も多く、妊娠を契機に発症する場合もあります。

2型糖尿病

最も多いタイプの糖尿病です。インスリン分泌量の減少を主体とするものと、インスリンの働きが低下することが主体でそこにインスリンの相対的な低下がともなうものとがあります。中高年に多く見られますが、最近では若い年代の発症も見られます。

その他の糖尿病

1型糖尿病・2型糖尿病の他、別の疾患や遺伝子異常・加齢・ストレスなどが原因となって糖尿病を発症することがあります。

遺伝子異常による原因

  • 膵β細胞機能にかかわる遺伝子異常
  • インスリン作用の伝達機構にかかわる遺伝子異常

他の疾患による原因

  • 内分泌疾患(甲状腺、副腎、下垂体)
  • 膵外分泌疾患
  • 肝臓疾患
  • 感染症
  • 薬剤・化学物質による

例えばリウマチなどの膠原病の患者さんが治療のためにステロイド(プレドニンなど)を使うことで糖尿病を発症することがあります。

妊娠糖尿病

これまでに糖尿病と言われたことがなく、妊娠して初めて糖代謝異常が見つかった場合、妊娠糖尿病とされます。近年の日本における糖尿病罹患者数の増加に伴い、妊娠糖尿病罹患者も増えてきています。特に、晩婚化や晩産化も大きな要因となっています。妊婦の約12.08%の方に妊娠糖尿病が発症しているとされています。
赤ちゃんの合併症を防ぐために、妊娠中の血糖管理は非常に重要ですが、妊娠糖尿病を経験した方はその後糖尿病に進行する可能性が高いことが知られています。出産後も定期的な経過観察をすることで、適切な時期に介入し、糖尿病に進行させないことが出来ますので、ご相談ください。

糖尿病の症状

糖尿病は自覚症状がほとんどない場合が多く、気付いた時にはかなり病気が進行していることもあります。具体的な症状は、以下の通りです。

  • 喉が渇きやすい
  • 水をたくさん飲む
  • 頻尿・多尿
  • 足の浮腫み
  • 体重が減少している
  • 目がかすむ
  • 立ち眩み
  • 意識障害

など

高血糖が続くと合併症が進行する場合があります

糖尿病腎症・糖尿病網膜症・糖尿病神経障害は、糖尿病における3大合併症と呼ばれています。いずれも、重篤な疾患で社会生活に大きく支障をきたします。健診などで血糖値の異常を指摘された場合は、自覚症状の有無に関わらず、なるべく早めに治療を開始することが重要です。

糖尿病性網膜症

血糖値が高い状態が長く続くと、目の毛細血管が破れて視野障害を引き起こします。白内障の発症リスクが高まるほか、年間約3,000人の糖尿病罹患者が視力を失っています。

糖尿病腎症

長期間血糖値が高い状態が続くことで、毛細血管の血行が滞り、栄養や酸素が十分に行き渡りません。さらに、老廃物をろ過する腎臓機能が低下して、人工透析が必要となってしまいます。このように病気が進行すると、日常生活に大きな支障を及ぼします。

糖尿病神経障害

高血糖が続くと、血液の循環が悪くなり、全身の神経に障害が起こります。主に、しびれやこわばり症状のほか、立ち眩みや発汗異常・便通異常・勃起障害などの症状が現れます。病気が進行すると、壊疽を起こし下肢切断を強いられることがあるため注意が必要です。

その他・合併しやすい疾患

高血糖から動脈硬化が進み、脳梗塞や心筋梗塞などの重篤な疾患を起こすことがあります。その他、歯周病を起こす・歯周病が悪化するなどの調査報告もあります。

当院の糖尿病検査

当院の糖尿病検査では、即日に結果が分かる検査があります。

問診

問診では、以下の点について丁寧にお伺いしております。

  • 自覚症状
  • 基本的な体調変化
  • 既往症の有無や病名
  • 家族親族の糖尿病罹患者の有無
  • 体重変化の有無
  • 生活習慣について

血糖・HbA1c検査

血液検査

採血による迅速検査で、血糖値とHbA1cを測定します。検査後10分程で結果が判明しますので即日結果が分かります。

尿糖検査

尿中のブドウ糖値を調べます。この検査だけでは糖尿病は診断できません。

糖尿病合併症検査

血管年齢検査や頸動脈超音波検査などで、脳梗塞や心筋梗塞の発症リスクの有無を調べます。血管年齢検査では動脈硬化の進行度合を調べ、頸動脈超音波検査では頸動脈の壁の厚みを調べて動脈硬化の起こりやすさを予測します。

当院の糖尿病治療

糖尿病治療の基本は、食事療法と運動療法です。必要に応じて、薬物療法を組み合わせます。適切に治療を行うことで、糖尿病の進行を遅らせて生活の質(QOL)を維持することが可能です。

食事療法

食事療法患者さんの生活環境、合併症の状況などにより、1日の摂取カロリーをコントロールする場合もあれば、タンパクや脂質とのバランスを調整する場合、糖質制限をする場合などがあります。理想の食事と現実の食環境には必ず隔たりがあると思いますので、当院では型にはめ込む形での栄養指導は避けたいと考えています。今できる選択肢を探し、生活を見つめなおすツールとお考え下さい。基本的に食べてはいけない物はありませんが、高血圧の方は減塩に気を付ける必要があります。当院では、管理栄養士・糖尿病療養指導士の資格を持ったスタッフが適切な食事内容についてご説明させていただきます。お気軽にご相談ください。

運動療法

運動療法運動により、筋肉でブドウ糖や脂肪の利用が促進され、血糖値が低下します。特に食後の運動により食後高血糖を抑えて、血糖変動(血糖スパイク)を小さくすることは大切だと考えられています。運動を継続することで筋肉量を増やして糖の吸収量を増やしたり、インスリンの働きをよくすることも重要な目的です。
患者様の体質や年齢・運動経験によって適切な運動メニューをアドバイスしております。また、筋肉量が増加して脂肪が減少するとともに、脳卒中の発症率や死亡リスクが運動療法により半減することが明らかになっています。

薬物療法

薬物療法食事療法や運動療法を行っても、十分な血糖コントロールが難しい場合は、薬物療法を行います。血糖を下げる薬剤の内服、GLP-1受容体作動薬の投与、インスリン注射、インスリンポンプ療法などが検討されます。

内服薬(経口血糖降下薬)

血糖値を下げる薬剤には、以下の種類が挙げられます。患者様の病状に応じて、適切な薬剤を処方しております。

特徴 種類 作用
インスリンの分泌を促進する スルホニル尿素薬 分泌促進
速効型インスリン分泌促進薬 より速く分泌促進
DPP-4阻害薬 分泌促進グルコガン分泌抑制
インスリンの作用を高める ビグアナイド薬 肝臓で糖の作られるのを抑制
チアゾリジン薬 骨格筋、肝臓でのインスリン感受性の向上
糖の吸収・排出をコントロールする α-グルコシダーゼ阻害薬 炭水化物の吸収を遅らせて高血糖を抑制する
SGLT2阻害薬 腎臓で糖の再吸収を抑制し、ブドウ糖の排出を促進

グルコガンとは、血糖値を上昇させる作用をもったホルモンの1つです。

GLP-1受容体作動薬

GLP-1は、インスリン分泌を促し、血糖値を降下させる働きがあります。注射によって、GLP-1を補うことができます。血糖値が高まる食後などに、インスリン分泌を促します。最近では飲み薬のGLP-1受容体作動薬を選ぶこともできます。

インスリン(注射)

インスリンは、糖吸収を促して血糖値を下げるホルモンを指します。インスリンが膵臓から十分に分泌されない場合、インスリンは分泌されているけれども、身体の必要量に達しない(相対的不足)場合は、インスリン投与が必要となります。

当院ではインスリンポンプ療法も導入しております

当院では、操作が簡単なインスリンポンプ療法を導入しております。腹部に小さいポンプを装着し、インスリンを持続的に皮下注入していきます。2~3日ごとに装置を交換し、基礎インスリン注入のほか、追加インスリン注入も可能です。注入量を柔軟に変えることができるため、患者様に適したインスリン補填が可能です。なお、ペン型注射器よりも人目が気にならない利点があります。

よくある質問

血糖値が高い状態が長く続くとどうなりますか?

動脈硬化を起こします。その結果、血流が滞ることで酸素や栄養が各臓器に届かず、全身にあらゆる障害を及ぼします。特に、糖尿病の三大合併症と言われる糖尿病腎症・糖尿病性網膜症・糖尿病神経障害などを発症する恐れがあります。血糖値が高い状態の場合は、様々な障害が起こる前に治療を開始することが重要です。早期治療の場合、食事療法と運動療法で改善を図ることができるため、血糖値が気になる場合はなるべく早めに当院までご相談ください。

糖尿病の薬の服用で、低血糖になった際の適切な対処法を教えてください。

ご自身で手軽にできる応急処置として、ブドウ糖10gまたは、砂糖20gを摂取します。外出先の場合は、砂糖が含まれる清涼飲料水を200mlを自動販売機などで購入して飲んでみてください。ただし、低血糖によって意識障害の状態になった場合は、手助けが必要となるため、周囲の人に清涼飲料水など砂糖が含まれるものを歯茎に塗りつけて吸収させる、ご家族からグルカゴンの注射をしてもらうなどして、救急搬送をお願いしてください。
万が一の場合を想定して、日頃からご家族や周囲の人たちに適切な対処法を伝えておくことが重要です。
薬剤によって低血糖になりやすいもの、なりにくいものがあります。また低血糖症状は人それぞれ異なりますし、低血糖とよく似た症状でも低血糖ではないことがあります。低血糖かなと思ったら、必ずご相談ください。

どの場合に糖尿病と診断されますか?

糖尿病は、血液検査と75g経口ブドウ糖負荷試験によって診断できます。以下の①~③のいずれかの該当に加えて④に当てはまる場合、糖尿病と診断されます。または、糖尿病網膜症の存在、口渇多飲・体重減少などの典型症状があり、④が確認された場合にも診断できます。①~④のいずれか1項目にのみ該当の場合は、「糖尿病の疑い」として後日再検査を実施しております。

  1. 朝の空腹時血糖値が126mg/dl以上
  2. 75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値が200mg/dl以上
  3. 時間関係なく測った血糖値が200mg/dl以上
  4. HbA1c6.5%以上

体重が急激に増えて、食後強い眠気に襲われます。尿のにおいが甘い感じがしますが、糖尿病でしょうか?

以上の症状からは、糖尿病もしくは睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。いずれの疾患も当院で検査及び診断が可能です。気になる症状がある場合は、一度当院までご相談ください。また、糖尿病の場合は自覚症状がほとんどないまま病状が進行してしまいます。早めに受診されることをお勧めしております。以下に挙げる、主な症状をご参考ください。

糖尿病の主な症状:喉の渇き・多尿・頻尿・目のかすみ・立ち眩み
睡眠時無呼吸症候群の主な症状:激しいいびき・日中の強烈な眠気・集中力低下・起床時の頭痛

糖尿病の検査はすぐに受けられますか?

当院にご来院くだされば、問診・検査を当日に受けることができます。迅速検査の場合は、10分程で結果をお知らせすることが可能です。検査結果に応じて、その場で診断できることもありますが、後日再検査となることもあります。なお、事前にご予約くださると、スムーズに診療を行うことができます。

インスリン注射は痛いですか?

インスリン注射では、極細の針を使用しております。痛みはほとんどないため、どうぞご安心ください。

インスリン注射の際の注意点を教えてください。

インスリン注射によって低血糖状態となる場合があるため、注意が必要です。この場合、適切な対応を行うことで回復が可能です。なお、低血糖に関して自己判断でインスリンの使用を中断または減量するのは絶対にしないでください。低血糖におけるご不安などがありましたら、お気軽に当院までご相談ください。

インスリン注射を早期に開始した方が良い理由はどうしてですか?

高血糖の状態が長く続くと、膵臓機能の異常からインスリン分泌量が減少し、次第に全く分泌しなくなってしまいます。早期にインスリンを補給することで膵臓の負担を軽くし、機能回復を図ることができます。膵臓機能が回復すれば、インスリン注射の回数を減らせます。

インスリン注射は一生続けないといけませんか?

膵臓機能が低下してインスリンが全く分泌できなくなった場合や、1型糖尿病の場合は、一生涯インスリン治療を行う必要があります。それ以外のケースでは、インスリン治療によって膵臓機能の回復が可能です。インスリン分泌量が元に戻ってきたら、インスリン注射の回数を減らしたり、治療が終了となることもあります。そのためにも、食事療法と運動療法・インスリン療法を地道に継続することが非常に大切となります。

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